2019/07/31
東京都練馬区は家族の介護にあたる人を支援するケアマネジャー(介護支援専門員)の育成で、事業所の枠を越えた研修を始めた。現場経験の豊かなベテランの「主任ケアマネジャー」が、経験年数3年以下のケアマネジャーに指導・助言する。区は介護人材の資質向上につなげる。
「地域同行型研修」の名称で、主任ケアマネが若手のケアマネに同行し、高齢者宅で職場内訓練(OJT)をする。練馬区内にある約210カ所の事業所のうち、主任ケアマネが在籍しなかったり少なかったりするところもある。別の事業所のベテランが、若手を指導することが特徴だ。区によると都内初の事業で、全国的にも珍しいという。
区内には600人以上のケアマネがいる。実務経験5年以上の人などがなる主任ケアマネは、うち約160人だ。今後、介護人材の不足が見込まれており、同行型研修を通じて人材の掘り起こしを目指す。(日本経済新聞 7月24日)
介護保険サービスの扇の要を担うのがケアマネジャーである。ケアマネジャーの能力によってサービスの質が左右されるが、ある調査によると、ケアマネジャーに対して医師が「医療知識不足」を挙げているが、一方で、多くのケアマネジャーは医師に対して「敷居が高くて相談しにくい」と回答している。
数ある医療介護の専門職のなかで、医師のみが「先生」と呼ばれ、他の職種は「さん」付けで呼ばれることからもわかるように、医師はとくに介護職から見れば敷居が高い。
この調査結果を見た医師は、シンポジウムで「医師の側から敷居を下げなければいけない」と話していた。
「医療と介護が連携して患者さんをサポートする時代になったので、各専門職がチームを組んでサポート体制を編成しなければなりません。職種間に上下関係ができてはいけないのですが、医師が何か発言すると、それだけで方向が決まってしまうので、なるべく私は聞き役になるようにしています」(同医師)
こうした現状が改善されるには時間がかかるだろうが、練馬区の取り組みを通してケアマネジャーのスキルが向上することには期待したい。
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