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兼業の警察幹部3人を懲戒処分へ 問題集執筆で多額報酬

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警察官の昇任試験対策問題集の原稿執筆を繰り返し、適正な手続きをとらずに出版社から報酬として多額の現金を受け取ったのは公務員法が禁じる兼業にあたるなどとして、国家公安委員会などは、大阪府警の警視正と、宮城県警から出向中の東北管区警察学校の警視正、熊本県警の警視の男性3人について懲戒処分にすることを決めた。
 
警察関係者への取材によると、大阪府警刑事部幹部の警視正は数年間にわたり計八百数十万円を受け取っており、減給10分の1(3カ月)の処分の見込み。東北管区の警視正は計百数十万円を受け取り、戒告、熊本県警の警視も戒告の見通しだ。一部は辞職する意向を示しているという。原稿執筆は3府県警以外でも確認され、複数の県警などの幹部ら十数人が本部長注意など内規に基づく処分の対象となった。
 
出版社は東京都港区の「EDU―COM(エデュコム)」。同社は、全国各地の警察が行っている巡査部長、警部補、警部の昇任試験の筆記の対策問題集「KOSUZOシリーズ」を出版。筆記試験は法規や捜査実務の知識を択一式などで問う内容だ。(朝日新聞デジタル 7月12日)

各業界で制度改正が実施されると、所管省庁の幹部を講師に招いたシンポジウムやセミナーが開かれる。かつては講演謝礼が支払われていたが、いまは「制度改正を告知する公務」という理由で受け取り拒否されるのが通例である。
 
都内のセミナー会社が厚生労働省幹部と講演料をめぐるやりとりをしたメールを見せてもらったことがある。セミナー会社が講演料の振込先を問い合わせたところ、「公務なので金銭は受け取れない」と明記したメールが返信されていた。講演日は日曜日だったので、時間外勤務のはずだが、それでも受け取れないらしい。

「他の幹部も受け取らないのですか?」と確認したら、その会社の担当者はこう発言した。

「皆さん、受け取りません。ただ、受け取らないと分かっていても、時間と労力を提供していただいているわけですし、当社は参加費を徴収してビジネスとしてシンポジウムやセミナーを開いているので、講演料を支払う準備だけはしています。役人の皆さんは、当社が要した弁当は召し上がりますが、お金に関しては潔癖ですね」
 
もっとも、素顔をさらず講演は、無署名で行う原稿執筆とは違うので、役人も身ぎれいに振舞うのかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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