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「脱藩金融人」球団に大なた スキル応用、変化読む

金融業界は最盛期を過ぎ、金融マンの稼ぎも人気も衰えた。本当にそうだろうか。視野を広げてみると、社会はむしろ、金融人材を求めている。スピンアウトした人材が他分野や新しい金融サービスで輝きを放つ。
(中略)
今シーズンの楽天の観客動員数は1試合平均で2万7000人を超える(5月27日時点)。球団が日本シリーズを制した2013年(1万7793人)と比べても約5割増えた。
「全試合を満員にしたい。本当にチケットが買えないぐらいになるのが理想ですよね」。球団社長の立花陽三氏(48)は満員スタンドを見渡しながら話した。
(中略)
金融業界の従業員数は90年に比べ4割減ったが、金融人材が価値を失ったわけではない。リクルートキャリアに比べよると、銀行員の転職では同じ銀行は1割にすぎず、コンサルティングや、事業会社など様々な働き場所を得ている。
(日本経済新聞 6月4日)

楽天球団社長の立花陽三氏はメリルリンチ日本証券で常務執行役員を務めた。生き馬の目を抜く環境である外資系金融機関で経営幹部まで昇進した人は、異業種に転身しても活躍する人が多い。総合的なビジネススキルが高いのである。
どの業種・職種でも通用するスキルをポータブルスキルというが、金融機関の社員はポータブルスキルが高いのか、あるいは金融機関はポータブルスキルが磨かれる職場なのか。

ノンバンク人事部長、投資会社役員を経て有料老人ホームを立ち上げた知人は、1年後に単月黒字に転換させ、訪問介護事業所も設立して黒字経営をつづけている。この知人はこう話していた。
「金融から介護には転身できけど、介護から金融へは転身できない。金融業界は会社にもよるけれども、ビジネスに必要なスキルを幅広く学べる。だから介護事業の門外漢であった自分でも、こうして黒字を出せている」

この知人の活躍を見ていると、もともとビジネス資質にすぐれた人が金融機関に就職したのではないか。そうも思えてくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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