2019/06/12
政府は6月に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む「就職氷河期世代支援プログラム」で、今後3年間に30代半ばから40代半ばの正規雇用者を30万人増やすとの数値目標を明記する方針を固めた。政府関係者によると、この世代の正規雇用者数は年間約5万人増えており、3年で倍増を目指す。対策を来年度の予算編成に反映させる。
バブル崩壊後の就職難を経験した世代は、総務省の労働力調査の年代分けでは今の35~44歳(約1700万人)が中心になる。このうち約371万人が非正規労働で、フリーターも約52万人いるとされる。
同調査で非正規で働く理由に「正規の仕事がないから」を挙げた層を「不本意ながら非正規で働く人」と捉えると、推計数は約50万人。それに加え、求職活動に至っていないが就職を希望する人、ひきこもりなどの状態からの社会参加などが求められる人などを合わせた計約100万人を、同プログラムの支援対象者と見込む。
(毎日新聞 6月4日)
就職氷河期世代が正規雇用に転換した場合、処遇が難しくなる。非正規で過ごしてきただけに年齢相応のマネジメントスキルを習得していないし、伸びしろを期待できる年齢ではない。ワーカーとしての雇用になるだろうが、給与も役職も、下の世代に比べて同等以下に設定しないと組織が健全に機能しない。就職氷河期世代の正規雇用は、年功序列人事の終焉にトドメを刺すだろう。
この世代は雇用が安定して一息つけるが、定年までのキャリアプランをどう描くのだろうか。いまさら「夢はかなう」と勇んで張り切る立ち位置にはいない。当人もプランどおりに現実が進まないことを見聞きしている年齢に達している。
正規社員に雇用されて以降は、淡々と仕事をこなして、つつがなく勤務時間を消化することに専念するのかもしれない。つまらなさそうにも見えるが、世の正規社員の多くも、血沸き肉躍るような日々を過ごしているわけではない。それぞれの持ち場で地道に業務をこなしているのだ。
正規雇用される就職氷河期世代にはミスマッチで退職に至らないことを望みたい。
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