2019/06/10
回転ずし大手の「くら寿司」は2020年春入社の新卒採用で、初年度から年収が約1千万円となる幹部候補生を10人募集する。平均年収の2倍以上の好待遇で、海外での店舗拡大に対応できる人材を集める狙いがある。
幹部候補生への応募は、ビジネスレベルの英語力を持っていることが前提。採用されれば、最初の2年間は国内店舗や本部の各部署、その後1年は海外店舗などで研修を受ける。その後、適性に応じた部署に配属され、部長職に相当する業務を担い、経営戦略の企画立案などにも携わる。将来的には、海外子会社の経営などに携わることも見据えているという。
通常の採用枠約220人とは別枠の募集。社員の平均年収450万円の2倍を超える収入を1年目から得ることになるが、2年目からは本人の実績に応じて額を増減させるという。
同社は米国で21、台湾で19の海外店舗を持ち、今後も毎年10店ほどのペースで拡大させる方針。こうした業務を担う経営感覚を持った人材は、社内でも公募などで募集しているが、「より若くて意欲があり、チャレンジングな方に来てほしい」(広報)と特別枠を設けた。
(朝日新聞デジタル 6月3日)
公開情報によると、くら寿司の従業員数は連結で1690人、平均年齢30.4歳、平均年収450万円。「平均年収.JP」の推計では、同社の役職別平均年収は、課長が604万9000円、部長でも668万7000円である。1000万円は取締役の水準だ。
同社で1000万円を支給される社員は、圧倒的な業績を上げないと翌年度には大幅減額が必至だから、みずからブラック労働を志願するかもしれない。残業の抑制や有給休暇の完全消化を度外視しないと、1000万円に値する成果を出せないだろう。
それにしても思い切った年収設定である。
新卒入社1年目の年収1000万円は、外資系コンサルティング会社や投資銀行をゆうに上回る。そのぐらい思い切った給与を支給しないと、けっして人気業種とはいえない外食業は、飛びぬけて優秀な人材を確保できないと判断したのだろうが、それだけの人材が外食業を選ぶだろうか。
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