2019/02/21
「60歳で定年退職して、90歳まで生きたら30年間は遊んで切るようなもの。これはもったいない。同業他社を含め、生産のノウハウを持っている人材の活用を進めたい」
プリマハムの千葉登社長は「特に生産現場を統括する監督担当者が足りない」と話す。1月に稼働した植物工場のように省人化にも取り組むが「数年で一段と厳しくなる人手不足に備えなければ」と焦りもあり、中途採用の拡大策を練っているようだった。
(日本経済新聞 2月14日)
70歳定年制が敷かれるのは時間の問題だが、今年1月17日付け日本経済新聞に、こんな一文があった。
「米国の若者の間で「FIRE」と呼ばれる運動が広がっている。「Financial Independence,Retire Early(経済的に自立し、早く引退しよう)」の略で、40歳前後でのリタイアを目指し、収入の7割を貯蓄に回したり、家賃を浮かすため船で暮らしたりする人までいる」
たぶんホワイトカラーの中でも高給取りなら40歳前後で引退できるのだろうが、それだけ競争に疲れ切って、燃え尽きる年齢が早いのではないか。
かたや日本では、政府が生涯現役を喧伝している。人生設計の価値基準を政府が啓蒙するのは、そもそも筋が違うが、社会保障財源の確保に向けて「一生働き続けよ!」と促しているのだ。
しかし、勤め人の人生設計はさまざまである。健康寿命がつづく限り、第一線での活躍を描いている人がいる一方で、早期退職志向者は政府の誘導に乗せられまい。まして悠々自適の生活を送る人たちにとって、生涯現役政策は後の祭りである。
たとえば平日の昼間に図書館で新聞を読んでいる定年退職者は、政府方針を後押しする有識者などに「覇気がない」と批判されても、その心中は「余計なお世話」ではないのか。
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