2019/01/25
働く人の5人に1人が高齢者という時代が訪れようとしている。厚生労働省が15日に公表した就業者の長期推計によると、経済が成長して働く女性や高齢者が増える場合、2040年には就業者に占める65歳以上の割合が2割近くになる。一方で医療や福祉を除くと多くの業種で働き手が減る。経済の活力を保つには、技術革新と働き方の見直しが避けられない。
厚労省の雇用政策研究会(座長=樋口美雄労働政策研究・研修機構理事長)が就業者推計を盛り込んだ報告書案を公表した。日本経済がゼロ%成長に近い状態が続き、女性や高齢者の労働参加が進まない場合は、40年の就業者は17年に比べ1285万人少ない5245万人と20%減る。
40年は高齢者人口がピークを迎える。経済成長と労働参加が進むケースでも就業者は17年比で1割近く減り、高齢者の存在感が増す。17年の実績値では就業者に占める65歳以上の比率は12%と、8人に1人だった。
経済が成長し働く人が増えるケースで就業者数を産業別にみると「医療・福祉」は40年に974万人となる。就業者の16%と、17年の12%から拡大する。「農林水産業」や「鉱業・建設業」「卸売・小売業」は就業者が減る。
(日本経済新聞 1月16日)
人手不足で高齢者を労働力として起用せざるをえない事情がある一方で、高齢者の側にも働きつづけざるをえない事情があるという。
10社前後の取締役に就任する60代後半の知人は「人生100年時代という政府提言は困ったものだよ」と嘆いている。
「健康で長生きすることは喜ばしいことじゃないですか?」
「それは一般論に過ぎないよ。年金だけで100歳まで生きられるはずがないだろう」
「でも、コンサルタントとして多忙で、収入も多いのでは…?」
「5年後にはいまよりも仕事が減るだろうし、10年後には80歳に近づくから、ボランティアぐらいしか声がかからなくなるかもしれないね。そうなれば収入は年金だけで、あとは貯金を崩しながらの生活になってしまう。それで100歳までもつはずがないよ」
70歳の知人は長年勤務した会社に1年契約で勤務しているが、「長生きすれば生活に行き詰まって自殺する人が増えると思う」と近未来を憂いている。
健康長寿の前提は“経済長寿”である。80歳を過ぎてもなお継続的に収入を得られる就労が求められているとしたら、これは生きがいになるのか、苦行になるのか。
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