2019/01/22
経団連が2021年卒から、情報解禁や採用選考で足並みをそろえてきた「就活ルール」を廃止するなど、新卒一括採用にこだわってきた日本企業の採用にも、地殻変動が起きつつある。「新卒採用、やめます」と宣言する会社も出てきたが、新卒にこだわらない採用をすると何が起きるのか。そしてその理由とは。
「新卒採用、やめます。2021年卒採用という言葉は、ガイアックスの中では、もうなくなることになります」
そう話すのは、ガイアックス採用マネージャーの流(ながれ)拓巳さんだ。2020年末以降、同社は対象を新卒だけに絞った、いわゆる「新卒採用」の活動はやめる方針だという。
ガイアックスはソーシャルメディアやシェアリングエコノミーサービスを提供するIT企業。退職後の社員(新卒採用)のうち6割が起業する「起業家輩出企業」としても知られる。
「募集要項などにも、◎年卒採用、新卒採用といった言葉は入れません。便宜的に(新卒を対象とした)就活サイトなどに求人は載せるかもしれません。ただ単に、採用活動で出会う方の中に、学生もいれば、そうでない人もいるだけに過ぎないのです」(流さん)
(BUSINESS INSIDER 1月15日)
すでに終身雇用の慣行が消え去り、定年退職年齢も多様に分かれつつある。再入社も珍しくなくなった。在宅勤務と副業の解禁も一気に進んでいる。
こうして雇用形態と就労形態が変化している流れにあって、入口である採用で新卒・中途の区分をなくす措置が広がれば、社員の組織依存度はますます低下してゆく。個人事業主の要素が拡大し、副業で一定以上稼げる社員などを対象に、雇用から業務委託契約に切り替える人事も増えるのではないか。
“起業社員”は中途半端な立ち位置だが、起業に踏み切るリスクを負えない人も多い。そんな人にとって、経済的な大成功は期待できないだろうが、昇進昇格競争や社内政治から距離を置けるぶん、無用なエネルギーを消費せずにすむ。
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