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大企業の「社外取締役」設置、法律で義務づけへ 法務省

20190116

経営に社外の目を入れて透明性を高める役割の「社外取締役」を、上場企業などの大企業に1人以上置くよう法律で義務づける方針を、法務省が固めた。すでにほとんどの上場企業が社外取締役を入れているが、法律で定めることで役割を明確にし、経営監視の責任を果たしやすくする。
2019年1月中旬に開く法制審議会の会社法制(企業統治等関係)部会で正式に決め、早ければ同年の通常国会に提出予定の会社法改正案に盛り込む。外国の投資家に対し、世界標準のコーポレートガバナンス(企業統治)だとアピールする狙いもある。
社外取締役の義務づけについて、経団連など経済界は「個々の企業の判断に任せるべきだ」と難色を示していた。一方、機関投資家や弁護士会などは今春の法務省の意見公募に対し「日本企業の信頼性確保のために必要」との意見を多く寄せた。
(朝日新聞デジタル 12月28日)

社外取締役の設置を義務付けられても、人材の供給が追いつくのか。有力弁護士や女性経営者を多用して世間受けを意図する取締役人事は、少なくとも海外投資家には通用しないだろう。
あるいは設置の義務付けに天下り先確保の意図が潜んでいたら、すぐに化けの皮が剝がれてしまう。一般に、法的規制には行政権の拡大という意図が潜んでいるが、社外取締役の設置義務については当てはまらないのではないか。
官僚OBに厳格な経営チェックを求めることは現実的でない。官僚OBが力を発揮できる業務は所管官庁との関係強化や海外政府機関との折衝である。社外取締役の人材スペックとしては経営経験者が望ましいだろうが、有能な人材にとって割に合う職位かどうか。報酬の見直しも必要だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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