2018/12/25
高齢化に伴う需要増に逆らうように介護施設の空きが目立ってきた。日本経済新聞が首都圏の特別養護老人ホーム(特養)の入所状況を調べたところ、待機者の1割に相当する約6千人分のベッドが空いていた。介護人材の不足で受け入れを抑制する施設が増え、有料老人ホームなど民間との競合も激しい。国や自治体は施設拡充に動くが、需給のミスマッチを解消しなければ無駄なハコモノが増えていく。
(中略)
世田谷区にある定員96人の施設は昨年8月の開業から半年で満床にする計画だったが、11月時点で半分が空いていた。副施設長は「人材採用が進まず、受け入れを抑えざるをえない」と明かす。
4月に開業した定員110人の「世田谷希望丘ホーム」も3割が空いたまま。入所者3人に職員1人の配置を求める国の基準は満たすが「2人程度に職員1人を充てないと十分にサービスできず、拙速に受け入れると介護事故につながりかねない」(渡辺博明総合施設長)。区全体では3月末で1800人が待機するが100床以上が埋まらない。
(日本経済新聞 12月16日)
厚生労働省が発表した有効求人倍率をみると、全産業平均は平成21年に上昇に転じて、それ以降は右肩上がりである。過去3年の有効求人倍率は、27年に1.20倍、28年に1.36倍、29年に1.50倍。人手不足を反映した数字だが、介護分野の有効求人倍率はそれどころでない。
介護分野の有効求人倍率は、27年に2.59倍、28年に3.02倍、29年に3.50倍で推移している。介護分野のおもな人材供給源は福祉系専門学校と福祉系大学だが、専門学校は定員割れして久しく、大学では就職先の対象から介護分野を外す傾向が強いという。
他分野からの転職も「給与水準だけでなく、業務の異質性が壁になって、求人案件を紹介しても抵抗を示す人が多い」(人材紹介会社社長)。外国人労働者の雇用でどれだけ補えるかが当面の焦点だが、外国人労働者が介護分野での就労に魅力を感じてくれるかどうか。
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