2018/11/23
外国人労働者の新在留資格を巡り、14業種の受け入れ見込み人数を政府が示したことについて、対象業界からは「一歩前進だ」と歓迎の声が上がった。ただ人手不足の見込み数に比べ、圧倒的に少ないため「焼け石に水だ」との声も。希望していたのに対象外となった業界は、今後も粘り強く政府に働きかける構えだ。
5年後に職員30万人の不足が見込まれる介護分野では、外国人5万~6万人を新たな在留資格で受け入れる。全国老人福祉施設協議会の石川憲会長は14日、「外国人材は必要不可欠。一人でも多くの受け入れが実現することを願っている」との談話を発表した。
大手介護会社の担当者は「受け入れ数が少なすぎる。このまま人手不足が続けば事業継続が難しくなる」。国の施設基準を緩和して必要な職員数を減らしたり、介護報酬による賃金改善で日本人を集めやすくしたりといった対策を訴える。
社会福祉法人千里会(横浜市)の牧野裕子・法人統括部長は、受け入れる働き手の「能力」を懸念する。経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとベトナムから来日した外国人職員は、現地の看護課程修了などを条件としているため、特別養護老人ホームの即戦力になった。「新しい在留資格で日本語や技能の要件がEPAより緩和されると、介護の質を保てず現場でトラブルが起きかねない」と話す。
(毎日新聞 11月14日)
外国人技能実習制度の対象職種に介護が追加されたとき、介護業界には歓迎する反応ばかりではなかった。都内の社会福祉法人理事長はこう打ち明けた。
「われわれ介護業界の人間はそうは思っていませんが、世間では介護に対して3K業種というレッテルが貼られてしまいました。そこに大量の外国人労働者が入ってきたら、どうなりますか?外国人労働者で支えられている業界というイメージが広がって、ますます若い人が就職したがらない業界になってしまうでしょう。われわれは、そうなることを怖れているのです」
しかし、イメージ対策に取り組む余裕はない。それどころではないのだ。
出入国管理法改正案で2019年4月から5年間の受け入れ見込み数において、新在留資格の対象14業種のうち、最大の受け入れが見込まれているのは介護の6万人。当然、これだけの人数を確保できるかどうかはわからない。しかも高齢者の心身をケアする業務なので、
適性の見極めも問われてくるが、それだけの受け入れ体制をとれるかどうか――。
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