2018/11/22
外国人労働者の受け入れ拡大に向け在留資格を創設する出入国管理法改正案は、13日の衆院本会議で安倍晋三首相が出席して趣旨説明と質疑を行い、審議入りした。政府は労働力不足に対応するため、今後5年間で最大34万人の受け入れを見込む試算の「たたき台」をまとめており、14日にも公表する見通しだ。首相は本会議で「(公表見込みの)数字を超えた受け入れは行わない」と明言した。
政府がまとめた「たたき台」では、来年度から5年間で130万~135万人の労働者が不足し、約26万~34万人の受け入れを見込む。来年度は約60万人の不足に最大約4万7千人の受け入れを想定する。政府は公表に向け、受け入れ数の最終調整を進めており、人数は変わる可能性もある。
首相は本会議で受け入れ人数の見込みについて「近日中に業種別の初年度と5年後の数を示す」と述べた。経済情勢に大きな変化がなければ、5年間は見込み数を「受け入れの上限として維持する」とも語り、5年ごとに次の5年間の見込み数を提示する方針をあわせて示した。
(産経新聞 11月13日)
外国人技能実習生の大量失踪問題の解決策が明示されない状況で、来年4月に新在留資格制度を発足させることは、いかにも拙速で、なし崩し感が否めない。だが、それでも制度化を急がなければならないほど産業界からの要請が強いのだろう。
政府・与党は社会目線よりも産業界目線を優先したのだが、外国人労働者の受け入れ要請を政府に働きかけた業界団体は、失踪問題や違法事案など健全な制度運営策も同時に提示したのだろうか。
新制度には移民政策かどうかという論点もある。「特定技能2号」では在留資格を更新しながら永住の道も開けてくる。事実上の移民だが、移民の公的な定義はない。安倍晋三首相は「移民政策はとらない」と繰り返しているが、公的な定義がない以上、移民政策かどうかの判断はできない。
特定技能2号の適用者が続出したら移民問題が沸騰するだろうが、この問題を先送りしてでも外国人労働者の大量受け入れを急がなければならないほど、人手不足の現場は困窮しているようだ。
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