2018/10/31
厚生労働省が23日発表した就労条件総合調査によると、民間で働く人の2017年の年次有給休暇取得率(1人当たり平均)は、前年比1.7ポイント上昇の51.1%と3年連続で増加した。
1998年(51.8%)以来、20年ぶりの高水準だが、日本の取得率は諸外国に比べてなお低く、政府が2020年の目標とする70%にはほど遠い状況だ。
取得率は、労働者が与えられた有休日数に対する実際の取得割合。17年の平均取得日数は0.3日増の9.3日だった。
業種別の取得率を見ると、最低は宿泊・飲食サービス業の32.5%。卸売・小売業、生活関連サービス・娯楽業、建設業も30%台半ばから後半と低く、いずれも最も高かった電気・ガス・熱供給・水道業(72.9%)の約半分にとどまった。
(時事通信 10月23日)
日本経済新聞社が実施した「社長100人アンケート」で、有休休暇取得の義務化は4割弱に過ぎなかった。人手不足によって有休を取得しにくいというが、それだけではなく、働いていないと落ち着かないという国民性にも由来するだろう。
国は定年延長による生涯現役社会を打ち出しているが、国民からの反発が発生していない。仕事を離れた人生に底知れない不安を覚える現役世代が多いのだ。「終わった人」(内館牧子著)という小説が話題になったのは、定年退職=終わった人というイメージが世情に合致したからだ。
欧米人はこういう心境にならないという。何のために働くのか。働いていないと社会から疎外されているようで不安になるから働く――これが、おおかたの日本人かもしれないが、社会保障政策にとっては都合のよい国民性である
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