2018/10/30
中央官庁の多くで明らかになった障害者雇用の水増しが、全国の自治体でも広く行われていた。障害者を支援する団体からは、雇用を奪うだけでなく尊厳をも傷つける、と怒りの声が上がった。
「法令を率先して守るべき県として、不適切な対応だった」。法定数に64人足りず、不足人数が全国最悪だった山形県。朝日新聞の取材に対し、県人事課の高橋正美課長は説明した。医師の診断書を確認せず、職員の自己申告をもとに障害者と算入していたという。
「担当者が前任者から引き継いで算出していた。ガイドラインの理解が不十分なまま漫然と続けていた」。法定雇用が義務付けられた1976年度から続いていたといい、障害者が担う仕事を精査するよう各職場に求め、速やかに求人を出す方針だ。
なぜ、不適切な算入が相次いだのか。各地の担当者の話から浮かぶのは、引き継ぎを漫然と繰り返し、本人への確認なしに診断書などをもとに算入する姿だ。
(朝日新聞デジタル 10月23日)
さる10月25日、都内で開かれたシンポジウム「医療経済フォーラム・ジャパン」で経済産業省商務・サービス統括官と厚生労働省医政局統括調整官を兼務する江崎禎英氏は、ダイバーシティ経営の効果に言及した。
「障害者が働く職場では社員がうつ病にならない。うつ病は、同質の社員同士で競争して生じた成果の差が原因になりやすい。異質な社員が同じ職場にいると、同質の社員同士だけの競争が起きないので、うつ病が発生する土壌が生まれにくい」
エビデンスは述べなかったが、多様な人材を雇用することが組織を健全にするという趣旨なのだろう。この発言が記者会見で出れば「うつ病防止策のために障害者を雇用するのか?」と揚げ足を取られかねないが、医療従事者対象のシンポジウムだったので、言葉尻をつかんだ愚問は飛び出さなかった。
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