2018/10/10
働く高齢者が増えている。総務省が28日に発表した8月の労働力調査によると、65歳以上で就業している人の割合は前月から0.5ポイント上昇し24.5%だった。高齢者の4人に1人が働いている計算だ。人手不足から企業が高齢者の採用を増やしているためだ。
65歳以上の就業者数は872万人だった。10年前の同月と比べて297万人増えている。
人手不足は深刻だ。厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍で、44年ぶりの高水準が続く。求職者に対して求人の数が大幅に上回っている。
今まで高齢者を雇っていなかった企業も採用に動き始めた。パートタイムで働く65歳以上の人は前年同月から26万人増えて242万円。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「高齢者は時間の融通が利きやすいことも採用を後押ししているのではないか」と分析する。
(日本経済新聞 9月29日)
根本匠厚生労働相は記者会見で①公的年金の支給開始年齢65歳を維持②65歳定年と継続雇用の延長―などを述べた。しかし、50歳以上の多くは、支給開始年齢がいずれ68歳になり、その勢いで70歳に引き上げられると感じている。
日本老年学会が高齢者の定義を75歳以上に変更する提言を発表して以降、案の定、この提言を追認するような空気が醸し出されている。安部晋三首相が「人生100年時代」に言及したことが拍車をかけた。
さる10月3日に開かれた「第30回 国民の健康会議」(主催・全国公私病院連盟)で、演者として登壇した福岡赤十字病院の副看護部長が「私は来年定年を迎えるが、人生100年時代になったので勤務先の病院から80歳まで働くようにいわれている」と苦笑いしていた。
すでに介護施設では、人手不足を背景に80歳定年制に移行した例もある。政府の未来投資会議では、継続雇用年齢を65歳以上に引き上げる検討に入るという。ジワジワと“生涯現役政策”が進んでゆく。
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