2018/09/04
厚生労働省は医師に限定した残業規制を2024年度に導入する方針だ。残業時間の上限を一般の労働者に19年4月から順次適用される年720時間よりも緩く設定。救急救命や産科など長時間の対応が必要な診療科にはさらに例外規定をつくる。一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断した。
医師の長時間労働は他産業に比べても深刻で労働環境の改善が必要だ。しかし一般労働者向けの残業上限規制をそのまま適用すると、現場の医師不足に拍車がかかるなど、医療の質が保てなくなる懸念があった。
(中略)
厚労省は医師の残業上限は一般労働者の年720時間よりも緩くする方向だ。厚労省内では「最大でも年960時間」との意見もある。
(日本経済新聞 8月26日)
医師の長時間労働是正が進まない大きな理由は、応召義務があるからだ。今年6月に全国医師連盟が都内で開いたシンポジウムで、応召義務をめぐって意見が交わされた。一部を紹介する。
「応召義務は大陸法に由来しますが、ヨーロッパでは応召義務が廃止されてきました。理由は医師にとってきついからです。いまの日本の医療が医療者の善意で成り立っていることは素晴らしいと思いますが、善意に乗っているだけでシステムが維持できるかと言えば、どうかなと思います。次の世代の先生たちが潰れずに十分に腕を発揮できる環境を整えることが、私たちの考えです」
「応召義務を拒否すると患者を見捨てるのかと問われますが、その問いにはこう答えてください。『医の倫理の第一は何でしょうか?応召義務ではありません。第一は医療ミスを起こさないことです』。過重労働で医療ミスを起こさないことを考えないと、国民の立場に立っているとはいえないと思います」
2つとも病院勤務医の発言である。
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