2018/08/08
九州の35中核病院のうち、少なくとも14病院が、違法な長時間残業や残業代未払いなどで労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、西日本新聞の調査で分かった。回答した病院の約6割に上る。さらに長時間労働を是正した結果、10病院で患者に影響が及んでいる。医師不足に悩む地方の医療が、医師の長時間労働で支えられている実態が浮き彫りになった。
7月上旬、特定機能病院や救命救急センター、総合周産期母子医療センター、基幹災害拠点病院に認定されている九州の35病院にアンケートを実施。24病院が回答した(回答率69%)。2013~17年度に是正勧告を受けた14病院は、新別府病院(269床、大分県別府市)から聖マリア病院(1097床、福岡県久留米市)まで規模はさまざま。勧告内容(複数回答)で最多は、労使協定(三六協定)で決めた上限を超えて労働させる違法残業で11病院。済生会福岡総合病院(福岡市)や北九州市立医療センターなどだった。複数の病院が「過労死ライン」の月80時間を超える協定を結んでおり、聖マリアでは月150時間の協定を上回っていた。
(西日本新聞 8月2日)
先月、三菱総合研究所が開いた会合で、働き方改革に関するアプローチ法のプレゼンテーションがあった。医師の労働時間も取り上げられたが、担当研究員は「応召義務があるので、我々は医師の労働期間短縮の答えをもっていない」と話していた。
もし労働時間を短縮したら何が起こるのだろうか。今年3月、都内で開かれたシンポジウムで全日本病院会の猪口雄二会長は、救急医療の停滞を懸念した。
「もし夜勤を時間外労働として扱って、看護師のように2交代にしたらどうなるか。おそらく日本中の二次救急や産科の現場は本当に崩壊すると思います。崩壊を防ぐために、どこまできちんとした議論ができるか。どんどん労基署が多くの病院に入って医師の勤務時間について「けしからん!」と指摘した結果、救急を廃止する病院も出ました」
患者側に理解を求める啓蒙活動も必要である。
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