Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

月45時間超の残業で健康対策義務付け

大企業では2019年4月から適用される残業時間の上限規制で、月45時間を超えて残業させる場合、厚生労働省が従業員の健康を確保するための対策を義務付ける方針で検討していることが14日、分かった。具体的な内容は企業に委ねるが、残業する場合に労使で結び、労働基準監督署に届け出る協定(三六協定)に記載させる。
6月に成立した働き方改革関連法は、脳・心臓疾患の労災認定基準と重なる「月100時間未満」の残業を特例で容認し、過労死遺族から強い批判を浴びている。厚労省は、原則上限を超えた段階で健康対策を取らせることで過労死や働かせ過ぎを防ぐ考えだ。(共同通信 7月14日)

罰則規定を設けない限り、残業時間の上限規制が浸透することは考えにくい。業務多忙や業界の事情などを理由に、長時間労働を改善しない企業もまだまだ多いだろう。
テレビ埼玉の報道によると、埼玉労働局が「過重労働」が疑われる県内の215事業所を調査した結果、67パーセントに当たる144の事業所で労働基準関係法令の違反が確認された。三六協定で定める限度時間を超えた時間外労働をさせている事業所が99事業所、「賃金不払いの残業」が24事業所、健康診断を行わないなど「健康障害防止措置の未実施」が15事業所になったという。
この調査結果を見ると、そもそも何のために会社を経営するのかという根本が問われてくる。労務問題を頻繁に引き起こして無用な労力を使うぐらいなら、個人経営でこじんまりと商いをつづけたほうが現実的だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。