2018/07/20
家族の介護や看護のために仕事を辞める「介護離職」が年9万9100人に上ることが13日、総務省の2017年の就業構造基本調査で分かった。安倍政権は20年代初頭までの「介護離職ゼロ」を掲げて施設整備などを進めているが、前回12年調査の10万1100人からほとんど減らず、深刻な状況が続いている。
調査は5年ごとで、今回は約52万世帯の15歳以上の約108万人を対象に17年10月時点の状況を調べ、結果を基に全体を推計した。
介護離職者は、17年9月までの過去1年間に介護・看護を理由に離職した人で、育児・介護休業法による介護休暇をとった人は含まない。男女別では女性が7万5100人で8割近くを占め、男性は2万4千人だった。12年調査と比べると、女性が6100人減る一方で、男性は4100人増えた。
(朝日新聞 7月13日)
介護離職の阻止は、ひとえに介護サービス提供体制にかかっている。介護職の大幅な不足は繰り返し報道されているが、量だけでなく質にも不安がある実態が明らかになった。介護保険法に施策の柱として「地域包括ケアシステムの深化・推進」と書かれているが、惨憺たる現実なのだ。
シルバーサービス振興会が発表した「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」の期首データ分析で、地域包括ケアシステムの実践スキルについて「できていない」が「地域内の社会資源との情報共有」66%、「地域内の社会資源との業務協力」70%、「地域内の関係職種との交流」66%、「地域包括ケアの管理業務」82%という結果だった。
地域包括ケアシステムの推進は、自治体関係者などから理念と現実のギャップが指摘されつづけている。国が推進したい政策に介護現場が追いついていないのか、それとも国の政策が現実的でないのか。
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