2018/07/17
さまざまな業界で人手不足を訴える企業が増えている。全国約1万社の回答を集計した「人手不足に対する企業の動向調査(2018年4月)」(帝国データバンク、5月24日発表)では、正社員が不足していると回答した企業は全体の49.2%を占め、1年前(2017年4月)の同調査から5.5ポイント増となった。また、直近2018年5月の有効求人倍率(季節調整値、厚生労働省、6月30日発表)は1.60倍と、1974年1月(1.64倍)以来、44年4カ月ぶりの1.6倍台に達し、企業の人手不足を裏付けている。
こうしたなか帝国データバンクでは、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1000万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、調査開始(2013年1月)以降、2018年上半期までの5年半で発生した倒産を集計・分析した。
(中略)
業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が29件(2018年上半期は7件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は26件、「木造建築工事」は23件、「受託開発ソフトウエア」は19件と続いた。
(帝国データバンク 7月9日)
人手不足への対応はもはや外国人労働者に頼る以外にないようだ。さる6月15日に閣議決定した骨太方針で、建設、造船、農業、介護、宿泊の5業種を対象に最長5年の新たな在留資格を付与して、2025年には外国人労働者を50万人にまでふやす方針が発表された。外国人労働者を抜きに単純労働分野は成り立たないと表明したようなものだ。
だが、この方針が施行されても、外国人労働者がどこまで恒常的な戦力になるかどうかは不透明である。理由は単身での就労に限定されていることだ。骨太方針には「政策方針は移民政策とは異なる」を理由に「家族の帯同は基本的に認めない」と規定されている。
一般に20代以降の10年間は結婚・出産・子育ての時期にも重なるが、単身で来日して、10年経ったら帰国してもらうという規定なのだ。本人の人生設計と大きくズレてしまえば、日本が“選ばれない国”にもなりかねない。
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