2018/07/02
退職した社員との「同窓会」組織づくりが日本企業の間で広がっている。インターネット広告大手のセプテーニ・ホールディングスがこのほど設立したほか、ヤフーはすでに1千人を超える組織をつくった。人手不足で転職市場が活況になり人材の流動化が進むなか、退職者とのネットワークを維持して再雇用や将来の協業の可能性などにつなげる狙いがある。
「アルムナイ」という言葉が、日本企業の同窓会組織に使われ始めた。学校の卒業生や出身者を意味する英語を指す。セプテーニの「アルムナイネットワーク」はOB社員が登録すると、企業は入社式などグループの近況を専用のサイトを通じて報告する。現役社員向けに提供する人工知能(AI)を活用したキャリアカウンセリングを退職者も無料で使える。
(中略)
転職が一般的になりつつあるなか、退職を縁の切れ目とせず同窓会組織を開設・運営することに対して、国内企業が積極的に関与するようになっている。(日本経済新聞 6月24日)
退職者を集めた「元〇〇の会」という組織の多くは懇親会に近いが、納品先も仕入先もOBルートで開拓して社業を成立できれば、OB会は事業インフラになりうる。OB同士なら互いの得手不得手もわかっていて、無用な駆け引きをせずにすむ。実際、そうした例はむかしから珍しくない。OB同士で起業して、株式上場までこぎ着けた例もある。
企業もOBを味方につけておけば“経済圏”を拡大できる。将来の経営幹部候補と目される人材ですら中途退職する時代に、OBを経営資源として活用することは有効な戦略だ。
一方、OB会が事業インフラとして機能している例に、大学の業界OB会がある。同業種で同窓生が集う会だが、ある私立大学の不動産業界OB会では、優良物件がOB会のなかで取り引きされているという。
この情報を得た中堅不動産管理会社は、同OB会に加盟するために、わざわざOBを中途採用して定例会に参加させている。
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