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国家公務員、副業容認へ…公益性高い業種のみ

政府は、原則禁止されている国家公務員の副業を特定非営利活動(NPO)法人など公益性の高い仕事に限って認める方針を固めた。民間企業でも副業を容認する動きが広がっており、政府としても多様な働き方を後押しすることにした。社会的な人手不足に対応する狙いもある。
政府が15日閣議決定する予定の成長戦略「未来投資戦略2018」に国家公務員の副業についての方向性を盛り込む。副業の範囲は「公益的活動など」とし、「円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」と明記する。
年内にも、政府が副業に関する指針を示す。副業する場合は届け出を義務づけ、収入も申告させる。政府予算の支出対象となっているといった利害関係のある団体での副業は原則認めない。副業するのは休日を想定している。長時間労働にならないよう、副業の時間に一定の歯止めをかけることも検討する。
(読売新聞 6月15日)

1992年に発覚した論際事件は、「論際」という雑誌が企業から協賛金を集め、中央省庁の幹部職員を対談などで誌面に掲載して謝礼を支払う取引が糾弾された。所管業界から「論際」を経由して国家公務員に金が流れるという構図だったのだ。

この事件をキッカケに、中央省庁の官僚は講演料を受け取らなくなった。当時、通産省の課長に「役務を提供しているのだから、対価を受け取ってもいいのではないですか?」と尋ねると「いえ、役人の講演は公務という扱いになるから、交通費も含めて金銭を受け取ることができなくなったのです」といわれた。

その後、この規定がどう運用されてきたのかはわからないが、昨年、ある中央省庁の課長に講演を依頼したセミナー会社に謝礼の有無を聞いたら「振込口座を確認したら、講演は公務なので謝礼は受け取れないという回答がありました」。そういってメールのやりとりも見せてくれた。

制度改正などをテーマに中央省庁の課長以上を演者に招くと、業界にもよるが、会場は盛況になるものだ。一方、セミナー会社の出費は会場費、資料作成費、通信費ぐらいで、講演謝礼がまるまる浮く。官僚を活用すると、収益性の高いセミナー事業が成り立つようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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