2018/06/11
新卒入社した会社で定年まで働く「滅私奉公」から、自分のキャリアや人生観、スキルに価値を置く「自分ファースト」へ。日本生産性本部が新入社員向けに毎年実施する意識調査によると、「条件の良い会社があればさっさと移る方が得だ」と答えた割合は2018年で39・1%。就職氷河期で会社への帰属意識が薄れていた1999年以来の高水準となった。
好景気に沸いた30年ほど前のバブル経済期。今と並ぶ超売り手市場だったが、当時、孫卒入社した人々の意識は現在とは少し違う。90年に新卒入社した人が3年以内に離職した割合は26・5%と現在より5ポイント以上低かった。その後も92年にかけて離職率は低下した。
人生100年時代といわれる今、長い職業人生の中で新卒入社した会社は一つの通過点。企業に入って経験を積み重ねた30年前の新入社員とはキャリアプランが異なる。(日本経済新聞 6月2日)
“定額・働かせ放題”の高度プロフェッショナル制度に象徴されるように、働き方改革の本質は、政府主導による“働かせ改革”である。社員にとって最良の働き方を真に模索している会社は、政府が喧伝する前から地道に取り組んでいる。
たとえば副業や出戻り、在宅勤務など柔軟な人事制度を運営しているサイボウズは、いわば“社員ファースト”企業で、こうした企業でないと若手社員は定着しなくなるだろう。“石の上にも3年”とばかりに、新卒入社3年間は滅私奉公の時期と扱えば、一定割合の離職は避けられまい。
最初の3年間で4年目以降の展望を見出せるように仕向けないと、見切りをつけられかねない。売り手市場は若手社員をワガママにしてしまったが、良し悪しを論じたところで何も得られない。企業は現実を受け入れる以外にない。
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