2018/06/08
政府は、5年間を上限に日本国内で就労できる新たな在留資格を設ける方針を決めた。最長5年間の「技能実習」を終えた外国人や一定の技能を身につけた外国人が対象で、人手不足に悩む建設や農業、介護などの5分野での労働力確保が狙い。来年4月の導入を目指しており、今秋の臨時国会にも入管難民法改正案を提出する。【和田武士】
外国人労働者を巡っては2月の経済財政諮問会議で、安倍晋三首相が受け入れ拡大策を具体的に検討するよう指示していた。
技能実習は、日本の技能を海外に伝える国際貢献を目的に、開発途上国の外国人らを受け入れる制度。受け入れ職種は現在、建設や縫製、農業、介護など77種ある。海外の送り出し団体が現地で実習生を募り、日本の受け入れ団体が実習先にあっせんする仕組みだ。
新たな在留資格は技能実習修了者のほか、所管省庁が定める技能評価試験合格者を対象とし、原則として日常会話程度の日本語能力を求める。建設、農業、介護のほか、造船や観光といった分野を想定。家族の帯同は認めないが、日本での在留中に介護福祉士などの資格を取得すれば、熟練した技術のある外国人に認められる「介護」などの在留資格に移行し、家族の帯同や長期在留も可能となる。
(毎日新聞 5月30日)
相手国との互恵関係で成り立つ外国人技能実習制度の趣旨を技能移転から労働力確保には変更できない。在日年数も3~5年に限定されている。この成約を乗り切る策として新たな在留資格を新設して、労働力確保に結びつけるのだ。
技能実習制度の対象職種にも大きな動きがある。コンビニエンスストアの「店舗運営管理」業務が対象職種に追加されれば、すでに4万人以上の外国人スタッフが働くコンビニ業界は、外国人スタッフとの親和性も高く、実習の大きな受け皿になる。他業界にとっては強力な競合相手であり、介護業界も例外ではない。
実習生の奪い合いは、各業界・事業者に“選ばれる業界”“選ばれる実習先”になれるかどうかを突きつける。さらに日本では見えにくいが、日本が“選ばれる実習先国”になれるかどうかが問われている。
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