2018/06/01
三菱自動車が2016年以降、岡崎製作所(愛知県岡崎市)で受け入れたフィリピン人技能実習生65人のうち33人を、実習内容とは異なる仕事の現場で働かせていた。同社への取材で分かった。法務省は技能実習適正化法に違反する不正行為の疑いがあるとみて、外国人技能実習制度を共に所管する厚生労働省と調査する。
同社によると、33人は溶接技能の習得が目的で、4次にわたって受け入れたが、車体の組み立てや、実習計画より簡易な溶接を日常的にさせていた。技能実習制度では習得度合いの試験ができる作業を実習対象としており、33人の作業は技能実習に該当しない。
今年1月、実習生の紹介を受けた「協同組合フレンドニッポン」(本部・広島市、FN)から「仕事の中身に問題がある」と、岡崎製作所の担当者に指摘があったという
(朝日新聞デジタル 5月25日)
外国人技能実習制度では実習生の就労先を「実習実施者」と呼び「雇用主」とは呼ばない。実習生の就労が「雇用」でなく、あくまで「実習」だからなのだが、企業が実習生を受け入れる目的は、あくまで人手不足対策である。
母国への技能移転が本義であることを理解していても、人手不足に苦しむ現場はそれどころではない。しかも、実習生を企業に紹介する監理団体のなかには「人手不足の解消に役に立つ」という趣旨で営業を行っているケースもあるという。いずれもホンネなのだが、制度の趣旨に反している。
三菱自動車岡崎製作所で実習内容と異なる仕事をさせていた問題も、おそらく岡崎製作所の配属部署が「実習生を雇用している」という姿勢をとっていたから起きたのだろう。制度の理解を職場の末端まで周知徹底させないと、同様の問題はなくならない。
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