2018/04/14
日立製作所やヤマトホールディングスなど大手企業9社がデータ分析の専門家「データサイエンティスト」の育成に乗り出す。東京大学など5大学と組み、企業が持つビッグデータを使った大学院生の育成プログラムを始める。産業のデジタル化と人工知能(AI)の導入が進むなか、データを扱える専門家の層の厚さは企業の競争力を左右する。産学が手を携え実践的な専門家を育てる。
データサイエンティストには数値の規則性を探り出したりする統計学に加え、データを取捨選択して問題解決につなげる能力も求められる。業界ごとの課題を理解し企業のエンジニアと意思疎通することも要求される。
(日本経済新聞 4月2日)
筆者は、数学科の卒業生ではあるが、統計学のノウハウは、大学で学んだことよりも、社会に出てから実際に企業のデータ分析に携わる中で積み上げてきたことの方が遙かに多い。
そもそも、30年前の数学科の学生は、代数、幾何、解析など純粋数学が好きな者が多く、統計学は数学界の辺境に位置していると思っている者がほとんどであり、統計学を熱心に学んでいたのは、保険会社のアクチュアリーを目指している学生ぐらいだった。今でも、大学入試の数学の試験範囲から統計学を除外している大学がほとんどだ。
しかし、社会では、統計学は数学の中で最も使われている領域だ。今やアクチュアリーだけでなく、金融工学、ビッグデータ分析、AIと、統計学の応用範囲は現代社会の中で拡大を続けている。大学もデータサイエンティストの教育に本腰を入れる時代が到来した。
そのときに重要なのは、大学教育が、基礎的な理論の習得だけでなく、それを応用した実践的な問題解決能力の開発にもコミットすることだ。現実の企業のデータと経営課題に企業とともに取り組んで、経験を蓄積し、課題認識と問題解決の能力を磨くことが求められている。今回の産学協力が、こうした大学教育の契機となることを期待している。
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