2018/04/12
厚生労働省は4日、2017年4月の臨時の介護報酬改定で拡充した「処遇改善加算」を取った事業所で働く常勤の介護職員の平均給与月額が、同年9月時点で前年比1万3660円増の29万7450円だったと発表した。報酬改定の効果が一定程度表れた形だが、それでも全産業平均の40万8千円(16年)と比べると約10万円低い。
調査は昨年10月、1万568事業所を対象に実施し、7660事業所から回答を得た。平均給与月額には手当や賞与も含まれる。
臨時報酬改定は介護福祉士の資格を持つ人などの賃金を平均月1万円ほど引き上げることを狙い、約600億円の財源をあてた。
ただ、全産業平均との賃金差は埋まらず、人材不足も解消されていない。介護職員の有効求人倍率は全国平均で4.02倍(18年2月)と高止まりしている。
(朝日新聞デジタル 4月4日)
知人の有料老人ホーム運営会社社長は「うちは介護福祉士資格をもっていなくても、20代の中途採用スタッフは年収400万円からスタートしているよ。低賃金じゃないだろ?」。また、中堅介護グループの平均年収は30代前半で430万円である。
この2つの例は介護業界でも少数派で、多くの事業所は低賃金だが、厚生労働省が発表した全産業平均と介護職員の平均給与額を額面通り比較することは現実的でない。介護職員には女性が多く、非正規雇用者も多く、しかも2000年の介護保険制度創設以降の就労者が多く勤務年数が短い。
こうした要素を考慮すると、介護職員の処遇を改善する議論のたびに、約10万円の賃金格差が強調されることはやや説得力に欠けるが、全産業平均よりも低いことには変わりない。
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