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定年後の再雇用、賃金75%減は違法 高裁判決が確定

北九州市の食品会社が定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定した。佐藤明裁判長は再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断を示した。
判決は昨年9月7日付。原告、会社双方が上告したが、最高裁が3月1日にいずれも不受理の決定をして確定した。原告代理人の安元隆治弁護士らによると、再雇用後の賃金引き下げを不法行為とした判決が確定したのは初とみられる。再雇用をめぐる企業の実務に影響しそうだ。
判決によると、原告は食品の加工・販売を手がける九州惣菜(そうざい)(北九州市門司区)に2015年まで40年余り正社員として勤めた。60歳の定年時は経理を担当し、月給は約33万円だった。同社は、再雇用後は時給制のパート勤務とし、月給換算で定年前の25%相当まで給与を減額する条件を示したが、原告は拒んだ。
(朝日新聞デジタル 3月30日)

定年後も定職に就けるだけでありがたいという時代は終わった。いまや「働け!働け!」の大合唱である。再雇用で給与が大幅に下がるのは当然だが、減収幅の上限設定が議論されるようになるだろう。
人手不足の慢性化にあって、60歳や65歳で引退されてしまったら日本経済がもたない――そんな見方もあるが、AI経済によってメガバンクの大量リストラが発生するように、産業間の労働力移動で人手不足の調整も進むだろう。
何歳まで働くかは生涯現役ブームに翻弄されずに本人が考えればよい。もちろん地域デビューも本人の好みの問題だ。かりに地域デビューして浮いてしまったら、本人だけでなく家族までもが肩身の狭い思いを強いられかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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