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セクハラ発言「調査中」=昨春の入社面接―電通

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電通の中本祥一代表取締役は29日開いた定時株主総会で、2017年春の新卒採用の際、面接官によるセクハラ発言があったのかとの株主の質問に対し、「調査中。発言内容を精査した上、懲戒に該当するなら厳正に処分する」と述べた。
中本代表取締役はさらに、「(現段階では)セクハラと取られかねない発言があったことを否定できない。(事実なら)不適切な発言を申し訳なく思う」と語った。
面接でのセクハラ発言は、電通の新入社員で過労自殺した高橋まつりさんの遺族代理人の弁護士が今年1月、明らかにした。面接官が女子学生に「女を武器にしている」「スカートが短い」などと発言したという情報が寄せられたという。
弁護士によると、面接の席で高橋さんの事件の見解を問う発言や、自殺の原因が過重労働ではないと受け取れるような発言も、複数の役員から出た。
(時事通信 3月29日)

「政治家の失言はホンネ」といわれるが、政治家でなくとも、失言や暴言はおおむねホンネである。電通の面接でのセクハラ発言が事実なら、たぶん発言者のホンネがポロっと口に出てしまったのだろう。
面接場所がオープンスペースでない限り、面接は密室の行為である。面接担当者も、まさか応募者から発言が漏れることまで想定していなかっただろう。だが、面接担当者の暴言や失言は昔からひんぱんに発覚してきた問題である。被害者が応募者だから、訴えの対象にならなかっただけだ。
さらに、高橋まつりさんの自殺の原因が過重労働ではないと発言した役員が複数いたというが、この期におよんで何も改まっていない。過重労働が否定されては、過重労働で昇進を重ねてきた自分の過去を否定されたような錯覚にとらわれてしまうのではないか。
再発防止策の実施を繰り返しても、相撲界の暴力事件がなくならないように、ハラスメント行為もなくならないだろう。人権意識はコンプライアンス研修では改まらない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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