2018/03/14
2015年6月に適用が始まった統治指針は企業の取締役会に対し、最高経営責任者(CEO)などの後継者に関する計画を適切に監督するよう求めている。指名委員会をすでに設けたり設ける予定の企業は約半数にのぼるが、後継者に求められる資質・能力を文書に落とし込む作業などはなかなか進まず、試行錯誤が続く。経産省は17年12月から今年1月にかけて東証1部・2部上場の2569社を対象に計画の進み具合の調査を実施、941社から回答を得た。
これによると、社長やCEOの後継者に関する具体的な計画が存在しない企業は48%。計画が存在するかわからない企業は29%で、計画があると答えた11%の企業の比率を大きく上回った。
計画があると答えた企業を見ても、「社内外の取締役に内容が共有されている」と答えた企業は半分弱にとどまる。指名委員会との計画共有も60%ほど。次期経営者の具体策は「いまの経営者の頭の中のみにある」という企業が多いようだ。
(日本経済新聞 3月6日)
後継経営者を選定するプロセスや後継経営者の選定基準が明文化されていないと、今後は株主からの追求材料になる。だが、たとえ選定基準が明文化されていても、元社長が顧問や相談役で残って院政を敷いていれば、骨抜きにされてしまう。
院政の主にとって最大の欲求は影響力の行使で、その筆頭が新社長の選定と承認である。きれいに引退するという感覚も価値観にも縁遠く、生涯現役を乱用する。だから、選定基準の明文化は顧問・相談役の廃止とセットでないと、実効性をともなわない。
旧弊を固持する企業もあるだろうが、上場企業なら株主に糾弾されかねない。居心地感の良し悪しはともかく、透明化の流れはどんどん進んでいる。
一方、後継経営者問題では、中小企業が深刻である。長年オーナー経営をつづけてきた果てに後継者が不在で、廃業や身売りを選択せざるをえない企業が増えている。
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