2018/03/02
女性が出産や育児によって職を離れ、30代を中心に働く人が減る「M字カーブ現象」が解消しつつある。働く意欲のある女性が増え、子育て支援策が充実してきたのが背景だ。人手不足下の景気回復で、企業が女性の採用を増やしている面もある。ただ男女の賃金や非正規比率にはなお差があり、女性の処遇改善は課題として残る。
総務省が1月下旬にまとめた最新の労働力調査によると、2017年は15~64歳で働く女性が2609万人、男性は3289万人。率(労働力率)にすると、男性(85.6%)とは開きがあるが、女性は69.4%と過去最高を記録した。景気回復が始まった12年から上昇が加速し、5年間で6ポイント上がった。海外も含め、歴史的に珍しいペースの上昇だ。16年には米国やフランス(ともに67%)を上回った。
(日本経済新聞 2月23日)
ある経営者によると「M字カーブは先進国では日本固有の現象で、産休明けや育休明けの職場復帰が経営課題として議論されているのは先進国では日本だけです。子を持つ女性に対する働き方改革は他の先進国では、議論される土壌すらありません」。たぶん寿退社という概念もないのだろう。
だが、ILO(国際労働機関)の調査で日本の労働力率は、米国とフランスを上回り、先進国の仲間入りを果たした。70%を上回っているのは、カナダ、ドイツ、英国の3カ国。一連の働き方改革で、日本も数年足らずで70%台に上昇するだろうが、その水準に達しないと労働力の確保に支障をきたす。
先の経営者は「女性が定年まで働けば産休や育休で休んでも、生涯賃金が2億円になります」と説明する。家計にとっても大助かりだ。
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