2018/02/07
「学校で見ているとね、先生に向いているな、先生になってほしいな、と思う生徒に出会うんですよ」。50代の男性高校教師がこぼす。「でも今の現場の難しさを考えると『先生を目指してみないか』とは言えない」。頼もしい“後輩”になるかもしれない生徒への思いは胸にしまい込んでいる。
福井県教委が2016年度に行った調査で、休憩1時間を除く平均勤務時間は中学校が最長の11時間22分、小学校は10時間28分、高校は10時間7分、特別支援学校は9時間18分だった。17年度の調査では、休日の部活動指導などで1カ月の超過勤務が218時間に上った県立高の教員がいた。
18年度に小学校、19年度に中学校で道徳が「特別な教科」となり、県内では小学校の英語教育も18年度から先行導入される。次期学習指導要領への対応も必要で教員の負担は増すばかりだ。昨年の12月県議会で東村健治県教育長は「(教員から)生徒に向き合う時間が取れないと聞いている」と認めた。
(福井新聞オンライン 1月30日)
教員の勤務時間を削減する目的で、部活動の顧問を外部の専門家に委託する傾向もあるが、この取り組みには問題もあるという。公立中学校の元校長は、こんな意見を聞かせてくれた。
「部活動は教育の一環であり、街のスポーツクラブとは違います。外部の専門家は専門技術には詳しいのですが、学校教育を知らない人が多くて、しかも部員の学校生活や家庭生活も把握していません。部員一人ひとりの背景を把握していないため、技術偏重の指導に傾きがちで、その結果、過度なスパルタ指導に陥りやすい面があります」
かつて教員は医師と並んで聖職と扱われた。生徒に奉仕する仕事であるだけに、役務を提供する側の都合だけで勤務時間を設定しにくいが、教員も生活者であり、労働者である。病院が医師の長時間勤務削減に向け、患者や患者家族からの理解を求める動きに入ったように、学校も保護者に教員の勤務実態を説明して、業務量の見直しを図る動きに向かうのだろうか。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。