2018/01/16
医療現場の長時間労働問題を考える医師らのグループが、若手医師や医学生を対象に実施したアンケートで、労働時間の上限基準が守れていないと感じている医師が7割に上ることが明らかになった。人手不足などが要因で、現場からは「疲れていては医療の質も保てない」と悲鳴が上がる。一方で「若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量を減らさず、時間だけを制限すれば医療崩壊につながる」との声もあり、苦悩する医師らの姿がうかがえる。
医師の長時間労働は、一昨年1月に新潟市民病院で37歳の女性研修医が過労自殺するなど大きな問題となっている。政府は働き方改革で残業時間の上限規制を検討しているが、医師には原則診療を拒めない「応招義務」があるため、規制のあり方の検討が必要だとして適用を5年間猶予する方針を示している。
アンケートをしたのは、東京などの若手医師を中心とするグループ。厚生労働省の有識者検討会で進む医師の働き方についての議論に同世代の意見を反映させようと昨年11月、大学卒業後10年以内の医師と医学生を対象にインターネットで調査を実施。約2週間で約800人から回答を得た。
(毎日新聞 1月10日)
医師の長時間労働対策について、1月10日に都内開かれたシンポジウムで全日本病院会会長の猪口雄二氏は次のように報告した。
「我々の若い頃は当直をやって手術をして、その翌日も当直をやって全然寝ていないというのが当たり前の姿でした。では、今はそうなっていないかと言えば、多くの救急医療機関はそうなっています。もし夜勤を時間外労働に扱って、看護師のように2交代にしたらどうなるか。おそらく日本中の二次救急や産科の現場は本当に崩壊すると思います」
長時間労働を改善するには、どんな施策が求められるのだろうか。猪口氏は「救急に対する姿勢まで代えさせてしまう問題なので、現実を見ながらの法的整備に、どこで整合性を取るかが大切である」と述べた。
患者の病態に応じて働く医師の労働時間は、労働基準法の適用を受けながらも、医療提供側の都合だけでは決められないという難題をかかえている。
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