2017/12/20
日本で働きながら技術を学ぶ技能実習生として入国し、実習先の企業などからいなくなる外国人が急増している。法務省によると、今年は6月末までに3205人で半年間で初めて3千人を突破。年間では初の6千人台になる可能性が高い。実習生が増える中、賃金などがより良い職場を求めて失踪するケースが続出しているとみられている。
近年の失踪者の急増を受けて、法務省は失踪者が出た受け入れ企業などへの指導を強化。賃金不払いなど不正行為があった企業などには実習生の受け入れをやめさせたりした。その結果、一昨年に過去最多の5803人となった失踪者は昨年、5058人にまで減っていた。
今年の失踪問題の再燃を、法務省は「率直に言って遺憾だ。さらに分析しないと、何が原因か示せない」(幹部)と深刻に受け止めている。
法務省によると、日本にいる実習生は6月末時点で25万1721人。ベトナム人が10万4802人と最も多く、中国人(7万9959人)が続いた。
(朝日新聞 12月13日)
外国人技能実習制度に対しては、国連や米国国務省などが勧告を続けてきた。例えば国連の自由権規約委員会は2014年7月に性的搾取や死亡事故、強制労働の多発を指摘し、17年6月には米国国務省が次のように報告した。
「技能実習制度における労働搾取を目的とする人身取引犯罪の可能性に関して、非政府組織(NGO)からの報告や申し立てにもかかわらず、政府は、いかなる技能実習生も人身取引被害者として認知せず、また技能実習生の使用に関わったいかなる人身取引犯も人身取引犯として訴追することはなかった」
いまや外国人労働者は不可欠の人材となった。この11月に新制度が発足して、実習生の保護監督体制が強化されたが、それは制度上の問題にすぎない。健全に運用するには、相手国で実習生から100万円超の金銭を徴収して送出し機関に紹介するブローカーの排除も必須要件だが、そこまで踏み込めるだろうか。
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