2017/09/22
日本郵便の契約社員3人が、正社員に支払われている各種手当が契約社員に支払われないのは労働契約法違反にあたるとして、日本郵便に計738万円の支払いを求めていた訴訟で、東京地裁は9月14日、日本郵便に計91万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
労働契約法20条では、正社員と契約社員の待遇差について、「不合理と認められるものであってはならない」としており、原告側は、正社員と同様の業務に携わっているにもかかわらず、年末年始勤務手当や早出勤務手当、住居手当などの各種手当が支払われていないことや、病気休暇などの各種休暇がないことについて、違法であると主張していた。
判決では、年末年始勤務手当と住居手当、夏季冬季休暇、病気休暇が契約社員に与えられないことは、不合理な取り扱いにあたり、不法行為が成立すると判断した。
(弁護士ドットコム 9月14日)
同一労働同一賃金の流れにあって(契約社員として安上がりに働いてもらおう)という発想に修正が迫られているが、ひとたび組織に定着した発想を改めるのは容易でない。正社員との待遇格差を設けたいのなら、業務も軽減すればよいのだが、それでは安上がりな労働力にならない。雇用側にどれだけ実質的にタダ働きをさせられるかに腐心させてしまうのが、契約社員制度の悪弊である。
日本郵便に下した東京地裁の判決はさまざまに報道されたが、この判決は、契約社員を正社員に移行させる流れを加速させる。同一労働同一賃金の原則に従うのなら、正社員に移行させ、帰属意識を喚起したほうが戦力強化につながる。
組織からの拘束を避けるために、正社員以外の就労形態を選ぶケースも増えるだろうが、多くの就労者は雇用の安定した正社員を望むはずだ。コスト高を飲み込めるのなら正社員に移行させ、飲めないのなら業務も軽減させる。この原則に従わないとトラブルの火種を抱え込んだままになってしまう。
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