2017/09/14
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が、医師や一部の看護師などの時間外労働を月300時間まで可能とする労使協定(三六協定)を結んでいたことが7日分かった。過労死問題に取り組む松丸正弁護士(大阪弁護士会)の情報公開請求で判明した。
国の過労死ラインの目安となる月100時間の3倍の長さ。同センターは「直近半年間で100時間を超える時間外労働を行った職員はおらず、実際の勤務は上限まで十分余裕があった」としているが、協定内容を見直す方針を示した。
松丸弁護士や同センターによると、平成24年4月に結ばれた三六協定では、医師や手術に関係する一部の看護師、研究職員ら約700人について、緊急時の手術など特別な事情がある場合、時間外労働を「月300時間(年6回まで)、年間2070時間」まで延長できると定め、現在まで更新されている。
(産経WEST 9月7日)
医師の長時間労働問題がクローズアップされるたびに議論の的になるのは、医師数は不足しているのか、それとも地域と診療科によって偏在しているのか――不足論VS偏在論である。
全国医師連盟など現場の医師たちは「医師資格保有者を医師数としてカウントすべきでなく、現役で稼働している数をカウントすべきである」と主張し、医師の絶対数不足を指摘しているが、厚生労働省の見解は偏在だ。この議論は平行線を辿っているが、人手不足問題は現場の言い分を優先すべきだろう。
数年前、総合病院に勤務する外科医から「睡眠時間をほとんど確保できないまま手術に臨むと集中力が低下して、怖くなる瞬間がある」と聞かされた。こうした実態は広く世間に知れ渡るべきで、医師も労働者であるという現実を改めて認識したい。
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