2017/08/14
気象庁が技術系職員の不足に危機感を強めている。1990年代初めまでに大量採用した世代が4割を占め、今後10年ほどで一斉に定年を迎える見込みだ。情報収集と分析を担う職員の不足は気象業務の根幹を揺るがしかねず、同庁は初の経験者採用に乗り出した。まず15人程度を採用し、今後10年間で計約200人の採用を目指す。
「30代の在職者が極めて少なく、観測・予報業務や地震火山業務で人材不足が懸念されます」。7月31日夜、東京・大手町の気象庁で開かれた経験者採用試験の説明会。約40人の参加者を前に、同庁職員が訴えた。
自治体職員の男性は「気象庁の業務は人の命に関わる重要なもの。これまでの経験をアピールしたい」意気込んでいた。
(日本経済新聞 8月5日)
就職氷河期といわれた90年代前半に採用を控えた企業・団体の多くは、気象庁と同様の人員構成問題を抱えている。異常気象が頻発する時世にあって、気象分析ニーズは急増しているが、気象庁が実施する経験者採用は、どんな前職を想定しているのだろうか。
真っ先に浮かぶのはウェザーニューズである。同社で一定以上のキャリアを積めば気象庁にとって即戦力だろうが、同社の社員から公務員への転身に魅力があるとすれば何だろうか。
公開データによると、ウェザーニューズの平均年収は37歳で569万円。東京商工リサーチの調査によると、上場企業の平均年収は600万円強だから、ウェザーニューズの平均年収はごく平均的な水準である。
気象庁に転じる動機があるとすれば、公的な仕事に従事することだろうか。一般に、公益志向は年齢を経るほどに強まっていく。天変地異が深刻化しているだけに有為な人材を確保できることを期待したい。
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