2017/07/14
大手広告会社の電通(東京)の違法残業事件で、東京地検が労働基準法違反罪で同社を略式起訴したことを受け、違法残業で過労死した高橋まつりさん=当時(24)=の母、幸美さんは7日、「刑事処分を受けることは、至極当然であり、改めて一刻も早く電通の社風と労務管理の改善を行うように求めます」とコメントした。弁護士を通じて、報道機関にコメントを送付した。
高橋さんは、書類送検されたまつりさんの上司の男性幹部が不起訴処分(起訴猶予)とされたことについて、「この上司が労働基準法違反の指示をしていたことは明確であり、刑事処分が妥当であると考えていたので、検察官が上司個人を不起訴処分としたことには納得できません」とした。
その上で、「入社してわずか半年の新入社員に対して、正社員に登用した月から連日の深夜労働や徹夜勤務、休日出勤をさせたことは絶対に許せない、悪質な行為であり、上司個人が罪に問われないことは、誠にやりきれない思いです」と訴えた。
(産経新聞 7月7日)
上司など幹部3人に不起訴処分が下されたのは、違法性の認識が乏しく悪質性がないという理由からだ。この判決は悪しき前例になるかもしれない。違法性の認識は主観の問題であり、認識が乏しかったと言われれば是認せざるを得ないのだろう。
だが、違法行為が蔓延していたのは、誰かが指示していたからで、責任が問われなければ長時間労働問題は根本的に解決しない。責任を組織に帰属させ、個人には問わずに責任の所在をあいまいにするのは、無責任体質の通弊である。
責任の所在を明確にしない限り、再発防止につながらない。電通問題が働き方改革をもたらしたのに、その電通に対して責任があいまいに処理されては、火種が消えたとはいえない。
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