2017/06/27
経営再建中の東芝が28日に開く定時株主総会に向け、米国の議決権行使助言会社グラス・ルイスが東芝の一部株主に、会社側が提案する綱川智社長ら9人の全取締役の再任案に反対するよう勧めていることが分かった。
助言会社が企業の取締役全員の資質を問題視するのは異例で、株主に重要な2017年3月期連結決算の正式報告を見送ることなどを理由としている。
助言会社は契約している投資家に対し、投資家が議決権を行使できる企業の株主総会で議案への賛否をどうするべきかアドバイスしている。グラス・ルイスの報告書は、東芝では15年に不適切会計問題が発覚して経営陣が刷新された後にも、米原子力事業で巨額損失が新たに見つかって決算報告が遅れるなど、「取締役会は適切に機能していない」と指摘。綱川社長についても「会社全体の監督ができていない」と批評した。
(読売新聞 6月17日)
証券界の長老に「東芝はどうなりそうですか?」と質問したら「蟻地獄にハマってしまったので、もう脱出できない」と即答し、さらにこう付け加えてきた。
「海外M&Aが致命傷になった典型的なパターンだよ。アメリカでの企業買収では、売るに売れない条項を結ばされるから、結局、日本企業がカモになってしまうんだよね」。
これだけの経営悪化を引き起こし、決算の正式発表を見送りながら、会社が全取締役の再任案を提案することは、経営責任の放棄に等しい。問題を発生させたのは前任の経営陣でも、取締役に就任した以上は責任を背負う義務がある。
全取締役の再任案は“身内の論理”“身内の常識”に由来する病理現象といってもよい。
株主からの外圧が必要である。
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