2017/06/15
人手不足に悩む小売業や建設業、物流業で若手に手厚く賃上げする企業が相次いでいる。処遇改善により、就職人気の高いメーカーやIT(情報技術)系など他産業に対抗。若い人材を採りやすくし、優秀な若手社員の離職を防ぐ狙いがある。人手不足が長引くようだと、中堅以上の社員に手厚く配分してきた伝統的な賃金制度を見直す動きが他産業にも広がりそうだ。
インテリア雑貨店「フランフラン」を運営するバルス(東京・渋谷)は2018年4月入社の新人の基本給を1万円引き上げる。今春も初任給を2万円引き上げており、昇給率は10%に達した。全社員の9割超でベアを実施し、平均昇給率は5・4%だった。相対的に賃金の低い若手に報いることで働き手の確保や離職防止につなげる。
(日本経済新聞 6月9日)
会社員にとって、生活費負担の重くなる30代から50代前半の賃金を手厚くしてもらうのが好都合なのだが、いまの20代には「その年になるまで待てません。10年先にいま務めている会社がどうなるかわからないので、いまのうちに稼いでおきたい」(26歳男性)という考えがあるようだ。
20代は修行の期間だから低賃金でもやむをえない。そう受け止める時代は過ぎ去りつつある。50歳が近づくと社会保障への不安がよぎって、老後への蓄財に関心が向く。20代から職業人生の先行きへの不安をもつようになれば、終生、将来への不安に覆われながら過ごすことにもなる。
消費税10%が施行されたら、そうなるのか。消費の手控えは一気に進むはずだ。景気回復よりも財政再建を優先すべきであるという見解も根強いが、この議論は平行線を辿るだろう。
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