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残業時間 公表義務付け 厚労省

厚生労働省は2020年にも従業員の残業時間の公表を大企業に義務付ける。企業は月当たりの平均残業時間を年1回開示するよう求められ、従わなければ処分を受ける。それぞれの企業の労働実態を外部から見えやすくし、過度な長時間勤務を未然に防ぐ狙いがある。職場の生産性を高める効果も期待されるが、負担が増す企業側の反発も予想される。

新たな規制は労働法制では大企業とみなされる従業員数301人以上の約1万5千社が対象。従業員300人以下の中小企業については罰則を伴わない「努力義務」にとどめる方向だ。
 
対象企業は厚労省が企業情報をまとめたデータベースや企業のホームページで年1回開示する。虚偽は疑われるような情報しか出さない企業にはまず行政指導を実施。悪質な場合には最大20万円のペナルティーを課す。
(日本経済新聞 5月18日)

公表データが虚偽かどうかは内部通報で発覚するだろうが、通報者を裏切者とみなして冷や飯を食べさせる企業は、いまもなお多い。どこまで正確な情報を期待できるだろうか。
 
正確な情報開示を期待するには、対象企業の最大20万円のペナルティーよりも、正誤表を付けて虚偽報告をした事実を公表したほうがい。
 
この記事には「残業時間を他社と並べて相対的に比べられることへの心理的な抵抗がある」と書かれてある。他社と比べることで残業時間の削減に誘導することが厚労省の目的だろうから、かりに抵抗があっても、受け入れざるをえまい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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