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給与総額10カ月ぶり減

厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、1人あたりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万7512円と、前年同月比で0.4%減少した。前年を下回ったのは10カ月ぶり。正社員の基本給が弱含み、残業代なども大きく減った。賃上げは大企業を中心に進んでいるものの、産業界全体では広がりを欠いている。

名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月と比べて0.8%減った。減少は2カ月ぶり。3月は消費者物価が上昇し、消費者の購買力につながる実質賃金を押し下げた。
 
名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与が前年同月に比べて0.1%減った。残業代にあたる所定外給与は1.7%減、通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は3.6%減った。
(日本経済新聞 5月10日)

給与水準が高い職業のひとつに医師があるが、医療機関の経営者によると、働かせ方に工夫が要るらしい。ある在宅専門クリニックの経営者はこう打ち明けた。

「在宅専門クリニックの場合で年俸2500~3000万円で医師を採用すると、夜間に働かなくなってしまう傾向があります。同じ年俸なら働かないほうが得だと考えてしまうのです」

在宅医療に従事する医師は患者のために身を粉にして働くイメージがあるが、そうではないタイプもいるのだろう。このクリニックでは、勤労意欲を喚起するために基本給を下げて、夜間の訪問診療に歩合を付けた。

夕方6時から9時までは1訪問につき5000円、9時から朝6時までは1万円、朝6時から9時までは5000円の歩合を付けたところ、医師たちは俄然働くようになったという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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