2017/05/02
真宗大谷派の本山・東本願寺(京都市下京区)が、研修施設で門徒の世話をしていた男性僧侶2人に、時間外労働の割増賃金の一部を支払っていなかったことが分かった。
2人は労働組合を通じて請求し、同派は25日までに、2013年11月~今年3月の不払い分と延滞金計約660万円を支払った。同派は、過去2年間に同じ仕事をしていた僧侶についても不払い額を調査する。
労働組合「きょうとユニオン」(同市南区)などによると、2人は本山の研修施設で、全国から訪れる門徒の世話をする「補導」を務めていた。業務が多い日は、午前6時45分から午後11時頃まで勤務。労働基準法が定める労働時間の上限(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働は、多い月で計130時間に上ったという。
同派は、補導に時間外労働をさせることについて、労働者代表と協定を締結しておらず、割増賃金も支払っていなかった。1973年に労働者代表と結んだ覚書で、補導に関しては「時間外労働の割増賃金は支給しない」と定めていたからだという。
(読売新聞 4月26日)
僧侶に労働者というイメージがないためか、これは意外なニュースだった。僧侶は聖職だから、仕事は労働でなく奉仕という見方も多いだろうが、僧侶にも生活設計がある。仕事の特殊性を理由に、タダ働きを強いられることに異議申し立てをするのも無理はない。
かりに僧侶の仕事は労働でなく奉仕としても、就労時間に上限を設けるのは当然で、超過分に報酬を支払うのも当然だ。
この問題は、業界や仕事の特殊性が長時間労働を容認する根拠に乱用される歯止めにもなり得る。「この業界は特殊だから」「この仕事は特殊だから」と労働基準法の適用除外を求めていたら、いっこうに過労問題は解決に向かわない。
人事評価が成果主義に変更されたところで、勤務時間に上限を設けないと、心身を病む労働者が出てしまう。
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