2017/04/17
横浜市は今月から、市職員の長時間労働に歯止めをかけるため、繁忙期の残業時間の上限を「月80時間」とする新たな基準を導入した。
繁忙期は「月100時間未満」とした国より厳しい基準とした。林文子市長は、「基準を超えると職員の業務パソコンを動かなくするなど対策を考えている」としている。
(中略)横浜市職員(約1万9000人)の2015年度の残業時間は、月平均60時間を上回ったのが122人。繁忙期に月100時間を超えたのが206人で、災害対応にあたる消防署員や建築担当の職員などが含まれていた。
厚生労働省などは、過労死の労災認定の目安を月80時間とし、13人の職員が月平均80時間を超えていた。市労務課は繁忙期の上限を「月80時間」とした理由について、「この目安を重視した」とした。ただ、守れなかった場合の罰則などは設けない方針。
(読売オンライン 4月8日)
横浜市が残業機関の上限月80時間の実行に際して、実際にパソコンの稼働を止めてしまうかどうかはともかく、残業時間の削減に取り組むには、消灯やパソコンの使用停止など強制措置が必要だ。強制措置をともなわないと、残業時間の上限設定はたんなる努力目標に終わってしまいかねない。
横浜市の方針で、もうひとつ注目したいのは、上限を80時間に設定したことだ。政府の「働き方改革実行計画」に盛り込まれた繁忙期に上限を100時間に設定する方針は、波紋を呼ぶだろう。過労死ラインを超えた上限設定には、優先するのは健康管理か、就労現場の事情か。
上限100時間が乱用されれば、連合も譲歩せず、上限時間の短縮が議論されるだろうが、それでも就労現場の事情が優先されるのではないか。この価値判断は容易に覆りそうもない。
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