2017/04/12
自動車や電機など主要製造業の産業別労働組合で構成する金属労協は4日、3月末時点での平成29年春闘回答状況を発表した。給与水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)などの賃上げ額で、中小が初めて大手を上回った。連合や金属労協が強調してきた「底上げ春闘」を体現した回答状況になっている。
金属労協は28年春闘(3月末時点)で、中小の賃上げ額が大手を上回ったと発表。だが、大手の集計でミスがあり、4月下旬になって、実際には大手の方が中小を上回っていたと修正していた。このため、7年の統計開始以来、中小が大手を上回ったのは39年春闘(同)が初めてとなる。
3月末時点で、1370組合が経営側から回答を引き出し、全体の賃上げ額は1195円と4年連続の賃上げとなった。組合の規模別でみると、組合員千人以上の大手組合が1126円、300~999人の中堅が1107円なのに対し、299人以下の中小組合が1268円と最も大きな賃上げ額を獲得した。
(産経新聞 4月5日)
大手企業を上回った中小企業の賃上げだが、中小企業をめぐる景況は、気前良く賃上げできるほど良好ではない。東京都信用金庫協会が発表した「都内中小企業景況調査結果」「平成28年10~12月期」によると、29年の日本の景気について「良い」が2.7ポイント減って9.9%、「悪い」は6.1ポイント増えて46.6%だった。
自社に関する回答も芳しくない。29年の自社の業況について「良い」が2.2ポイント減の12.1%、「悪い」は0.8ポイント増の35.2%。自社の売上高の対前年比は「増加」が2.9ポイント減の21.5%、「減少」は0.8ポイント増の24.7%だった。
この調査に対して、建築用金属製品メーカーは「売り上げは増えているが、人件費の問題で収益が増えない」と述べている。適切な労働分配率から逸脱した賃上げは、人件費倒産を引き起こしかねない。夏の賞与支給額はどうなるのだろうか。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。