2017/04/11
厚生労働省は30日、介護施設で働く介護職員の平均月給が2016年9月時点で前年比で9530円増えたと発表した。常勤職員の月給は賞与なども含めて28万9780円だった。人手不足を背景に賃金を引き上げる施設が増えた。
特別養護老人ホームなど全国の1万577施設を対象に調べ、有効回答率は76.2%だった。月給のうち、基本給は17万9680円で前年比で2790円増えた。
賃金を引き上げる方法(複数回答)では定期昇給が最も多く、70%を占めた。賃金改善に当たるベースアップ(ベア)は16%にとどまった。
厚労省は15年度の介護報酬改定で、職員1人あたり月平均1万2000円引き上げる加算措置を設けた。賃上げはこの政策効果が表れた形だ。介護は他の産業と比べて賃金がなお低いため、今年4月からさらに月平均1万円引き上げる。
(日本経済新聞 3月30日)
2018年度介護報酬改定の1年前倒しで介護職員処遇改善加算が講じられる。従来にも加算措置制度があったが、今回の措置で、加算率はサービス区分平均で1・5倍にアップした。例えば訪問介護の加算率は従来の8・6%から13・7%にアップした。報酬請求額が月100万円なら、従来の加算額は月8万6000円だったが、今回の措置で13万7000円に増額される。
ただ、支給対象は介護職に限定され、介護事業所に勤務する看護師や管理栄養士、事務職など他の職種は支給の対象外である。職員の皆で加算を分け合うことは認められない。さらに加算額が固定でなく、1カ月の請求金額に算定率を掛けて算出されることも盲点だ。稼働率が下がれば加算額も減ってしまう。
介護事業所に勤務する誰もが加算の恩恵を受けられるのではなく、しかも加算額は固定されていない。事業所側が加算の仕組みを従業員全員にきちんと説明しないと、誤解が広まってしまいかねない。
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