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子育て手当3倍に=支給年齢22歳まで延長―大王製紙

大王製紙は27日、子どものいる従業員に支給する手当を大幅拡充する一方、配偶者手当を廃止することを明らかにした。いずれも2017~18年度の2年間で段階的に進め、子ども1人当たりの手当は従来(月額4000円)比3倍の同1万2000円に引き上げ、子育て世帯を支援する。

手当の支給対象となる子どもの年齢上限は、これまでの18歳から22歳に引き上げる。今回の見直しに合わせ、家族手当の名称は「子女教育手当」に変更する。

一方、月額1万4000円を支給している配偶者手当は2年間で廃止する。子どもが2人以上いる世帯は、配偶者手当がなくなっても従前より手当の受取額が増えることになる。

大王製紙は15年11月から働き方改革に取り組み、週2回の「ノー残業デー」の徹底などを通じ、従業員の健康増進や生産性の向上を図っている。今回の手当の見直しには、女性の社会進出を後押しする狙いもあるという。
(時事通信 3月28日)

日本の人口減少は止めようがなく、都心からの移住者を募る地方自治体でも、移住者が増えても人口減少のカーブが緩やかになるだけにとどまっている。たとえば山梨県北杜市は、八ヶ岳の麓に位置する自然環境と都心から車で2時間というアクセスの良さから、定年退職者の移住が増えている。

北杜市の人口は約4万7000人。年間死亡者数が600人、出生数は200人で推移し、移住者が相次いだところで、人口減少を防げるには至らないという。

だから子育て環境の整備は喫緊の課題である。大王製紙が子供手当の支給額を3倍に増額し、支給年齢を22歳まで引き上げることは注目に値する。子育てで一番費用がかかるのは大学の授業料だ。給付型奨学金があまねく普及することは期待できない。

大王製紙の措置に対して、企業が社員の子供にそこまで面倒を見る必要があるのかという批判も出ようが、それは企業の社会意識に帰する問題である。大王製紙の子育て手当に社員は感謝し、士気を高めるのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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