2017/03/16
裁判で不当とされた解雇の金銭解決制度の導入を巡る有識者会議の議論が、打開の糸口を見いだせないでいる。厚生労働省が制度の原案を示した3日の会議でも方向性は見えないまま。解雇を助長するとして連合は反対姿勢を崩さず、経済界も積極的に実現をめざす動きは今のところ乏しい。
裁判で不当な解雇と認められた場合、解雇された人が望めば職場復帰を諦める代わりに会社から補償金を受け取れるようにするのが「不当解雇の金銭解決」だ。
この制度にはほとんどお金を得られずに解雇される労働者を救済する目的がある。それなのに連合が反対するのには理由がある。労働者側だけでなく、企業側がお金による解決を望んだときにも制度を使えるようなれば職場に戻る意思のある労働者の復帰を企業が解決金の支払いで拒める可能性が出てくるからだ。
(日本経済新聞 3月8日)
企業側が金銭解決制度を乱用するかどうかは金額によるだろう。ハシタ金で済むなら乱用する企業が出てくるかもしれないが、金額がかさめば自粛する。また、ひとたび乱用すれば、その評判があっという間に拡散され、人材確保に難儀することは明らかだ。
社員にとって、金銭解決制度を受け入れられるかどうかは、年齢によるのではないか。40歳以前なら補償金を受け取って、さっさと転職したほうが現実的だ。一方、40歳以降の社員には雇用の維持が最優先課題だから、金の問題ではなくなる。
十分な補償金を用意できない中小企業にとっては、制度化されても使い勝手が悪いだろうが、そもそも不当解雇が頻発しなければ、金銭解決制度など浮上しない。
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