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森下仁丹、50代中心の中途採用導入へ 幹部候補に

森下仁丹は3月から50歳代を中心にした正社員採用制度を導入する。他社で豊富な経験を積んだ管理職を即戦力として取り込む。毎年数人程度を採用し、経営幹部などに登用する。幅広い業界から有能なベテランを集めて同社が注力する事業の多角化を急ぐ。

面接などを経て選考する。同社は300人の従業員のうち中途入社は6割を占める。30~40歳代が中心だったが、入社後の活躍により役員を務められるような50代の有能な人材を毎年採用し、商品開発力や営業力の強化につなげる。

森下仁丹は清涼剤の「仁丹」や機能性表示食品などヘルスケア関連事業が全体の6割を占める。多角化を検討しており、50歳代の採用制度の導入が必要だと判断した。
(日本経済新聞 2月28日)

 
これまで50歳を過ぎてからの転職でステップアップといえるのは、せいぜいスカウトで役員に迎えられるパターンぐらいで、おおかたは収入が激減するステップダウンだった。

大手企業の場合、50代はお荷物世代扱いで、多くの50代社員は昔の部下と上下関係が逆転する環境で、なんとか定年まで無事に勤め上げようと割り切っていた。スキルも人脈も活用する機会が与えられず、ビジネスマンとして黄昏の時を過ごしていた。

その意味で、森下仁丹の50代採用は朗報だろうが、採用対象になるのは、専門分野をもったうえにマネジメント経験もある事業部長経験者などに限られるのではないか。50代の中途採用が話題になっても、ベテラン層の強化よりも、むしろ40代の昇進機会を減らし、活力を奪うことを懸念する企業は多いだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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