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政府、全省庁の実態調査=天下りあっせん問題

安倍晋三首相は20日午前、首相官邸で山本幸三国家公務員制度担当相と会い、文部科学省の天下りあっせん問題に関し、他の府省庁でも同様の事案がないか徹底的に調査するよう指示した。

これを受け、山本担当相は内閣人事局に対し、全府省庁を対象とした実態把握を要請。結果がまとまり次第、公表する。

国家公務員の天下りに関しては、内閣府の再就職等監視委員会が監視に当たっている。並行して実態調査を行う理由について、菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で「国民から疑念を生ずることがないように、改めて全省庁で徹底的に調査し、その結果を明らかにする必要がある」と説明した。

文科省の対応については、「再就職規制への違反に加え、事案を隠蔽(いんぺい)しようとしたことは、公務の公正性に対する国民の信頼を極めて大きく揺るがすものだ」と厳しく批判した。
(時事通信 1月20日)

昨年、東京都庁を定年退職した元職員は外郭団体に再就職した。この職員はこんな内情を話してくれた。

「50歳を過ぎた職員が小池知事を支持するかどうかは、天下りへの対応次第です。かりに天下り阻止を公言するだけなら問題ありません。しかし、内定していた天下り人事を阻止するなど具体的な行動に出たら、職員は一斉に抵抗勢力になるでしょう」

民間企業なら勤務先から紹介を受けられなければ、紹介会社に登録したり、ハローワークに通ったりして、自力で再就職先を探すものだ。この現実に元職員は「公務員でそんな行動のできる人は、ほとんどいませんよ。再就職先は役所が斡旋してくれるものという前提で働いてきたのですから」と切って捨てた。

民間人から見れば天下りは利権のひとつだが、公務員にとっては、天下りが否定されることは定年後の人生を封鎖されたような心境になるのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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